憤(むずか)る児緑陰に寄す乳母車 青果
美術館出て初秋の風纏う 雅彦
下町の情緒醸せし軒忍ぶ 紀歩
予後の目処立たぬ身託つ梅雨の闇 真帆
ちちろ鳴く壊れしままの登り窯 楊花
梅雨晴れ間キッチンカーに人集る
文庫本枕辺に寄す長き夜 相月
資材高翳る復興災地灼く 花楓
硯海に落とす一滴堂涼し 希瑛
外国語弾む名山山開き 琴音
雹打ちて脆さを曝す都市機能 毬衣
青春の思い出深き古日傘 紫野
枇杷の木の一際古し庵の黙 千鈴
梅雨深しドクターヘリの目処立たず 野乃花
新婚の白磁に添えるさくらんぼ 葉苗
白壁の名城映えて秋気澄む 柊花
梅雨豪雨濁流に消ゆ遊歩道 藍
梅雨晴れ間道草の児の忘れ傘 佐和江
連れ立ちし思い出の道ばら香る 弘美
進む道決めて真っ直ぐ蝸牛 直子