嚙み合わぬ元首会談春愁う　　　照葉 満開の桜堤に抱く孤愁　　　相月 杉花粉飛来に慣れる里住まい　　　...

緋の牡丹散り際侘し夕間暮れ 白牡丹日陰に生きて尼寺（にじ）を守る 青葉光いのち輝く近未来 賀茂祭り粛...

百寿なる結社言祝ぐ明けの春　　　照葉 寒行の読経掻き消す水しぶき　　　青果 露座仏の遠き眼差し春の雲...

草萌ゆる復興の音響く里 茎立ちぬ災地の隅の風荒し 春潮へ舵とる舳先若き漁夫 古りてなお女雛の髪の艶や...

一刻（ひととき）の華やぎ窓に虹の橋　　　故 塩田薮柑子 　この句は、令和４年６月に９３歳で身罷りまし...

初漁の夢滾らせる波頭　　　青果 法廷の静謐を裂く鰤起こし　　　雅彦 政争の熾烈なバトル風疼く　　　楊...

自販機の音寒寒と缶を吐く 胸に棲む人と雪道一筋に 大旦震源の海寂然と 霜柱大地持ち上ぐ夜の鼓動 窓の...

鈍行の旅路に愛でる草の花　　　照葉 晩秋の川一筋の弱き光（か）げ　　　雅彦 ほろ酔いの帰路心地好き虫...

昔日を沈めてダム湖水澄める 曼殊沙華咲く野の果てに寂光土 名も知らぬ路傍の穂草つつましく 鰯干す沖に...

大西日鉄塔の翳田を圧す　　　寥茶 隠棲の女院の庵落とし文　　　照葉 凡庸に生活（くらし）を重ね秋初月...