台風禍抗う術もなき自然 寥茶
無縁墓悲しさ募る彼岸花 雅彦
糺される企業の社風秋暑し 照葉
復興に競り活気付く初秋刀魚 相月
万博の工事の遅れ秋果てる 楊花
AIの言葉淡淡極暑の夜 梅香
引退の一打呑み込む雲の峰 琴音
炎天下工事ドリルの容赦なし 翠風
廃校の遊具佇む炎天下 澄水
冬の川中洲に鷺を遊ばせて 昭子
羅の袖口幽雅駒打つ手 紀歩
処理水に世界の視線夏の海 一葉
外灯の下に蠛蠓(まくなぎ)渦を巻く 柚果
若き日の夢は泡沫(うたかた)水中花 國子
庭木立余命を惜しむ秋の蟬 紫野
夕照に孤愁深まる夏の果て 四葩
処理水の放出憂う夏澱む 佳歩瑠
山越えて轟音だけの遠花火 麗春
親の元離れ自立の芋の秋 葉苗
朝まだき耳を擽る虫の声 恵華