草萌ゆる復興の音響く里 茎立ちぬ災地の隅の風荒し 春潮へ舵とる舳先若き漁夫 古りてなお女雛の髪の艶やかに 蛇出づる景気上昇託したき 百年史草稿終えて春近し 春嵐モラルに揺れるテレビ局 温暖化動きの著(しる)き冬の蠅 古里へ乗り継ぐホーム雪しまく 山火事に為す術の無き火の猛威 春灯下針目無心に小巾刺し 春嶺の玲瓏として神在(おわ)す 花吹雪有終の美を放ちつつ