自販機の音寒寒と缶を吐く 胸に棲む人と雪道一筋に 大旦震源の海寂然と 霜柱大地持ち上ぐ夜の鼓動 窓の雪望郷募る独りの夜 冬ぬくし母の慈愛の古手紙 足早に過ぎゆく余生年迫る 純愛の切なきドラマ雪清ら 軒氷柱秒刻みゆく滴の音 廃屋の闇に凍える猫の声 冬ざるる戦艦遺蹟眠る海 断水にお降り溜める被災の地 報復の戦の連鎖雲凍てる