鈍行の旅路に愛でる草の花 照葉
晩秋の川一筋の弱き光(か)げ 雅彦
ほろ酔いの帰路心地好き虫の声 青果
介護の日重ねて白き木の葉髪 相月
幾許の命尽くして秋蛍 瑶星
乱立の総裁選に秋暑濃し 真帆
一閃に会話途切れるはたた神 梅香
復興へ大きな一歩秋祭り 千鈴
歳時記を繙く静寂秋の夜半 四葩
台風裡間引きダイヤに人溢る 琴音
鬼薊荒れし原野の売り地札 毬衣
夏五輪勝者歓喜の鐘鳴らす 葉苗
簾越し夕日遮る町家街 一和
木下闇抜けて明るき海展ぐ 美津代
盆休み重機ひっそり影落とす 佐喜子
台風禍右往左往の時刻表 恵華
思い出の狭庭にひそと白桔梗 藍
鉄骨の組み上がる先雲の峰 野乃花
夕映えに一山極む照り紅葉 卓子
葛咲ける政治の表裏露わにす 佳歩瑠