昔日を沈めてダム湖水澄める 曼殊沙華咲く野の果てに寂光土 名も知らぬ路傍の穂草つつましく 鰯干す沖に見慣れぬ異国船 廃村碑守る湖畔の照り紅葉 時空超え時代祭りを誇る古都 政治家の言葉の表裏うそ寒し 野にあれば一入ゆかし冬薔薇 身罷りし御魂安かれ星冴ゆる 打ち寄せる椰子の実愛し冬の浜 冬北斗一途に生きる標とす 灯台の失せて寒風哭くばかり 道づれの句友の情け冬ぬくし