球宴の無双のアーチ夏旺(さか)る 忌を修す墓碑に虚しき蝉の殻 八月の一日遺影に沈吟す 盆の月黄泉の句会に思い馳す 仕舞い風呂湯船に溺る残りの蚊 懐郷の記憶に点る秋蛍 秋暑し脂粉の蒸れる通勤車 星月夜青き静寂に愁訴吐く 秋の波立ち揺曳の遊漁船 いささかの余生に光る糸薄 翁の句慕う旅路の秋の雲 落城の堀に秋寂ぶ風の音 惜敗の選手に翳る月の黙