令和6年6月11日、12日に横浜市内のホテルプラムに於いて今年度の蟻塔会全国俳句大会が行われ、伊東、金沢、伊賀、京都、大阪、姫路、赤穂そして開催担当の横浜各市の支部会員等が参加した。
本年は蟻塔会第二代主宰故塩田薮柑子師の三回忌の年であり、最初に全員で先師に黙祷を捧げ、主宰塩田里美先生ほか代表者の献詠句の披講並びに献花を行い、先師のご遺徳を偲んだ。その後、席題「青葉」の作句に取り組んだ。(結果は後記)
三回忌式典の後、令和5年度の蟻塔賞(長谷川梅香)の表彰、次に兼題の特選、秀逸の各句の披講そして入賞者への賞状の授与が行われ、大きな拍手が送られた。また主宰先生より特選句を中心に選評をしていただき、参加者は熱心に拝聴した。
◎兼題 「春惜しむ」「菖蒲」
特選 壊滅の故郷の景春惜しむ (金沢・百花)
解体の母校に集い惜しむ春 (姫路・青果)
水郷の風情芳し菖蒲群る (奈良・照葉)
秀逸 激震に失いし日日春惜しむ (金沢・巴)
学び舎の記念樹見上げ春惜しむ (姫路・柊花)
残りたる人生夫と春惜しむ (姫路・美津代)
学友と進路を分かつ春惜しむ (奈良・照葉)
名刹に風韻醸し菖蒲の香 (姫路・柊花)
道の駅束ねし菖蒲匂い立つ (京都・四葩)
あやめ草男の子生れて村が沸く (伊賀・梅香)
子供園菖蒲育むビオトープ (赤穂・琴音)
峡深し谷内田の菖蒲風青く (伊賀・楊花)
過疎進む一揆の里にあやめ草 (金沢・千鈴)
◎席題 「青葉」
特選 開港史息づく街の青葉風 (相生・相月)
青葉風建設進む世界博 (赤穂・紅蓼)
ベビーカー若き夫婦に青葉照る (金沢・千鈴)
秀逸 師を慕い降り立つ駅の青葉風 (姫路・青果)
調教の蹄軽やか青葉風 (厚木・毬衣)
車窓より望む名峰青葉満つ (京都・四葩)
リハビリに再起を誓う青葉窓 (伊賀・葉苗)
青葉光清流に乗る船頭歌 (奈良・照葉)
集合写真の撮影後、夕食を兼ねた懇親会があり、各支部の会員が旧交を深め、また新会員の方々との親睦を深めた。
夕食終了後は、幹部会や二次句会にそれぞれ出席し、充実した1日目を終えた。
2日目は吟行会を行った。晴天の下、チャーターしたバスの車窓から横浜三塔や近代建築の立ち並ぶ風景を楽しみながら、「三渓園」「横浜開港資料館」「山下公園」などを訪ね、それぞれの場所での吟行句に取り組んだ。(この吟行会については「蟻乃塔」9月号に掲載される)
この2日間の全国俳句大会の開催にあたり、ご指導いただいた主宰里美先生とお世話して下さった横浜支部の皆様に感謝し、来年、蟻塔会創設百周年記念全国大会での再会を約して有意義で和やかな全国俳句大会を終了した。