令和7年6月3日、4日、滋賀県琵琶湖畔のKKRテルびわこに於いて蟻塔会創設百周年記念・令和7年度全国俳句大会が開催された。

 蟻塔会は、大正15年10月に、故塩田紅果師により創設され、その翌年昭和2年1月に金沢市横山町に於いて俳誌『蟻乃塔』第一号が発刊された。俳誌一冊の定価35銭であったとの記録が残っている。終戦直前には用紙の配給が停止になり昭和19年3月で一時休刊となるも、同21年7月に早くも復刊した。その後、同63年11月紅果師逝去により、子息の塩田薮柑子師が第二代主宰に就任。同年12月より令和4年6月に逝去されるまで、引き続き34年にわたり継承される。同年9月、薮柑子夫人の塩田里美先生が第三代主宰に就任され、今日に至り百年を迎えた。

 このように一族で俳句結社を三代にわたり受け継がれ、百周年を迎えるということは、他に類を見ないといわれている。

 今年、この百周年の慶事の記念として第三代主宰によって、『蟻塔会百年史』が刊行された。この書には、『蟻乃塔』の歴史は勿論のこと「蟻乃塔のこころ」を深く理解できる珠玉の言葉が随所に鏤められ、私たちが目指す俳風の教本として貴重な座右の書物である。

 特に、紅果師の遺稿には、「人間の心に内在するものを雅に表現するのが俳句文学の本質である。」また薮柑子師の遺稿には「あるがまま」つまり「あるがままの現在感情を詠うものであって、特に目論むものではない。現在のことばをもってすんなり詠うものである。」とあり、『蟻乃塔』の指針として詳しく述べられている。これからも私たち会員はこの指針を学び、作句に励みたい。

 この百年目の大会は次の百年への第一歩であり、次世代に繋ぐ記念すべき大会であった。私たちはその重い使命を喜んで引き受けたい。

 祝 句                (代表者のみ掲載)

  百年史弥栄称う松緑        主 宰   塩田 里美

  百年の修史言祝ぎ花盛る      副主宰   河野 照葉

  百周年蟻塔弥栄春の雲             吉村 雅彦

  百年の蟻塚の史を語り継ぐ           杉山 桜寿

  百年史祝す誉れに風光る            有本 美智女

  初春の賦師訓紡げる百年史           山田 青果

  百年の意気脈脈と春の峰            滝川 瑶星

  句の歴史長き誉れに陽のうらら         川波 楊花

  師を仰ぎ永久に積み行く蟻の塔         山森 桂花

  百年の確たる歩み蟻の列            長谷川 梅香

  百年の灯永永蟻の塔              中西 紀歩

  百年史黙黙継がれ清和なる           西田 蓼花

  百年史清和の天に言祝ぎぬ           宮崎 相月

  百年史祝ぎて句の道薫風裡           田中 花楓

  百年史師訓仰ぎて清和なる           本田 真帆

 6月3日、蟻塔会創設百周年記念・令和7年度全国俳句大会は、KKRホテルびわこにて盛大に開催された。

第一部 記念講演 “近江と春 柿本人麻呂「近江荒都歌」をめぐって”      

      講 師  京都女子大学名誉教授   江富 範子氏

第二部 蟻塔会創設百周年記念・令和7年度全国俳句大会

    式 次 第

開  会

   創始者・第二代主宰をはじめ先人の御魂に黙祷

   祝句披講               山田 青果

   主宰ご挨拶              塩田里美先生

   令和6年度蟻塔賞授与

   蟻塔会最高同人、同人認定授与、

   俳号授与  

   兼題入選句披講・表彰

   兼題特選句講評          選者  塩田里美先生

   次年度開催地区より連絡

記念撮影  

懇親会  

二次句会及び幹部会

以上のように、百周年に相応しく盛大に行われた。

投稿者

kotetsu

蟻塔会同人

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