送り火に哀惜募る古都の空 照葉
杏熟る老文豪の住みし家 真帆
朝まだき仏花剪る手に露涼し 楊花
横綱の誕生パレード街若葉 紫芳
明け易し遠潮騒を聴く目覚め 希瑛
炎天下博覧会の列茹る 琴音
諍いを丸く収める渋団扇 毬衣
国政の座を掛け激す暑き夏 千鈴
大夕焼け湖の民話の画家偲ぶ 野乃花
通夜の帰路命を点す初蛍 國子
弾みつけ飛び立つ燕視野広し 一葉
農に生く生活(くらし)に活気夏野菜 禾穂
返還のパンダの愛し青時雨 葉苗
序の舞いの凛凛しき姿夏に入る 順子
霊峰を望みときめく山開き 藍
夏の夜の弾む下駄の音湯を巡る 百合花
武士の墓翁寄り添う梅の雨 双葉
油照り不発弾処理街止まる 佐和江
岸壁に飛沫泡立つ夏岬 翠花
温暖化進み不安の旱梅雨 千代子