捨て難き思いしみじみ更衣 美智女
半島の脅ゆ余震に山背吹く 楊花
凱旋の選手を称え風光る 真帆
論議呼ぶ人工知能捩れ花 照葉
桜蕊降りてほのかな夢の跡 梅香
ダム湖畔茅花流しの歌碑の黙 相月
六地蔵それぞれの手に落花受く 紀歩
風光る防潮堤の高き壁 葉子
盛会裡春満月の海の宿 琴音
立ち並ぶ朱塗りの社殿青葉風 四葩
職人の緩む目力花吹雪 俊平
春の蚊の幽きまでに色持たず 啓
人疎ら無人機械の新茶摘む 一葉
春夕焼け生かされし身の手を合わす 美智子
小さき背にリュック重たし遠足児 葉苗
春告げる球音響くスタジアム 進太郎
春の雨黙し佇む義士の像 黄葉
山笑う日ごとに変わる郷の彩 久美子
過疎の地の未来を託す鯉幟 千代子
風薫る戴冠式のファンファーレ