いぬふぐり少子化論議国細る 瑶星
春雷に一際高き競りの声 雅彦
春一に風車逞し風孕む 梅香
疫禍耐え素顔交わして卒業す 花楓
春曇りパンダ帰国を惜しむ園 照葉
合併の校舎包みし百千鳥 美智
春の水囁き合いて川太る 希瑛
浮遊する不穏の気球冴え返る 紀歩
春の雨四方を潤し息吹き初む 禾穂
東風吹きて神鈴響く門出の日 柊花
底冷えの仮設に耐える夜の静寂 柚果
春の潮岩に渦巻く波の綺羅 澄水
列島の爪痕深し大寒波 翠風
累累と続く墓標に彼岸西風 四葩
椿落つ閉じし老舗の寂深む 瑞木
春埃書棚の隅の旅ガイド 葉苗
焼き芋屋首のタオルを銜え拭く 迪子
山桜散りて愛でらる潔さ 一和
杉の花舞い散る風に目の潤む 恵華
柔らかに草木育む春の雨 双葉